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ホームページやブログの記事の文字数は、SEOの観点から考えたとき多いほうがいいのでしょうか、それとも、少ないほうがいいのでしょうか。
結論から言えば、文字数の多い少ないが直接的にSEO上有利・不利ということはありません。
実際に、GoogleのJohn Mueller氏もこの種の質問に対し、以下のように語っています。
原文:
we don’t have an algorithm that counts the words on your page and says Oh everything until 100 words is bad everything between 100 and 500 is fine and over 500
we don’t look at it like that we try to look at the pages overall and make sure that
this is really a compelling and relevant search results to users and if that’s the case then that’s perfectly fine if that’s long or short or lots of images or not that’s essentially up to you
翻訳:
私たちは、あなたのページを調べて『おお! 100語以下は全部悪いね。100~500語とか、500語以上は全部いいね!』というようなアルゴリズムを持っていません。
私たちは、ページ全体を見て評価しています。
ユーザーにとって魅力的で関連性の高い検索結果(表示されたコンテンツ)であれば、長くても短くても、大量の画像であったとしてもまったく問題ありません。
参照元:『Youtube_English Google Webmaster Central office-hours hangout』
つまり、単語数(文字数)のような表面的なことではなく、コンテンツそのものが魅力的であり、ユーザーのニーズにマッチしているかで、SEO上の有利・不利は決まるということです(ちなみに、似たようなものに更新頻度は多いほうがよい、というものもありますが、これも文字数と同じくユーザーファーストが基本です)。
ところが、いくつかのサイトで分析・報告されているように、このポリシーに従うと、比較的文字数の多いページのほうが、検索上位に表示されやすいという傾向が見て取れます。
これはなぜなのでしょうか?
カギを握るのは、「情報量」です。
Googleの提供する、Search Consoleのヘルプでは、「テーマに応じた適切な量のコンテンツを提供する」という見出しで、
『高品質のコンテンツを作成するには、時間、労力、専門知識、才能 / スキルのうち少なくとも 1 つが十分にあることが必要です。コンテンツは事実として正確で、記述が明確で、内容が包括的であることを要します。したがって、たとえばページでレシピを紹介する場合は、食材のリストや料理の基本的な説明だけでなく、手順がよくわかる詳細な料理方法を説明します。(参照元:Search Consoleヘルプ)』
と説明しています。専門知識に基づい、正確な事実・明確な記述・包括的な内容、さらに、基本的な説明だけでなく、詳細な説明を含むコンテンツを高品質と定義しています。
専門性が高く、包括的でかつ詳細であれば当然、含まれるキーワードも多彩になり、様々な検索クエリに対応できるようになります。特に、詳細に記述されたコンテンツは、いくつかのキーワードが複合したロングテールキーワードとの相性がよく、サイトのテーマを求めるユーザーから見つけられやすくなります。すると、コンバージョンにもつながりやすくなります。
ですが、長ければよい、ということではありません。繰り返しますが、文字数という表面的なことが問題ではないのです。
ここには、Googleが2018年10月に発表した、新たな自然言語処理技術である「BERT」が深く関係してきます。
BERTの詳細な機能については本題ではないので割愛しますが、BERTは「文脈」や「文と文のつながり」を理解するうえで、飛躍的な進歩を遂げたモデルであるといわれています。すでにアメリカでは検索エンジンに搭載されており、日本でも強調スニペットに利用されています。
ここで重要なことは、今後の検索は、より直観的で、普段私たちが話しているような言葉で行われるようになり、検索への一致度を判断する際には、文脈全体が重視されるということです。
つまり、文と文同士の論理的関連性、言葉同士の文脈に沿った関連性が明確な文章がより高く評価される、ということであり、ここからも先ほど引用した高品質なコンテンツの定義が意味を持ってきます。
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そうはいっても、最適な文字数はどのぐらいなのでしょう?
その答えは、Googleの提唱する「EAT(Expertise:専門性 Authoritativeness :権威性 TrustWorthiness:信頼性の頭文字をとった造語)」と、先ほど紹介した包括的かつ詳細、という2つにカギがありそうです。
まず、包括的という要素を満たしていきます。
包括的かつ網羅的とはどういうことか? という疑問へのヒントが欲しければ、2つのアプローチ方法があります。一つめはシンプルで、狙うキーワード(テーマ)での検索上位のコンテンツをいくつか見て参考にすることです。もう一つは、Wikipediaの『秀逸な記事』の目次構成や参照・引用のあり方を参考にすることです。
いずれも、そのままコピーするというよりは、「なぜこの見出し項目が必要なのか? 無いとどうなるのか? 付け加えられることはあるか?」という問いを立てながら確認していきましょう。
それでも、もっと具体的な指標が欲しい、という方は、中見出し1つにつき1000字程度。中見出し2~4つで2000~4000字。ひとつの中見出しの中に小見出し2~3個。すると、小見出し1つが300~500字。その中で、見出しの内容の説明が100~150字(原稿用紙にすると5行~7行半)、具体例などの詳細な説明が100~300字、その小見出しのまとめが50~100字ぐらい、というように分割して考えると構成を考えやすいでしょう。
そして、この中身の構成を考えていくときには、先ほどの「EAT」つまり、専門性を担保するような内容やキーワードはどこに入るのか、権威性や信頼性を確保するためのエビデンス(データや参照や引用)はどこに入るのか、を考えていきましょう。
このように考えていくと、準備の段階でトップページからの文字数の読みが大体できます。また、ネタ切れになって短くなりすぎたり、書いている途中で何を書いている分からなくなってしまい、内容の重複や飛躍が生まれる、ということも避けることができます。
最適な文字数を考える際には、
をチェックすればよいでしょう。
ここまで紹介したように、「EAT」や「包括的かつ詳細」といったことを意識しながら構成を作ることができれば、かなり網羅性の高いコンテンツに近づくことができます。
ここからもう一歩踏み込んで、高品質な「情報量」を実現するため必要なのが、記事を執筆しているあなた自身の知識や理解です。
網羅性を確保するために、ビジネスの世界では「MECE(モレなくダブりなく)」という考え方が重視されます。ですが、どうすれば「MECE」であることがわかるのでしょう?
ダブりはともかく、モレに気が付くためには、そのテーマに対する知識が絶対に必要になります。
また、知識だけでなく、その分野でどのような積み重ねがあり、だれがどのような意見を持っているのかを知っておくことも大切です。そして、それらを踏まえた上であなた自身が発見したことや洞察が、コンテンツに深みを与えます。
情報量が多く、網羅性の高いコンテンツ作りとは、コピペを積み重ねることではありません。
情報と情報を網羅的かつ論理的に再構築し、オリジナリティの高い価値をユーザーに提供することが必要なのです。
まずは、キーワードに関係する専門知識を身につけていきましょう。
専門知識とは、一般的な専門知識と、個別的な専門知識に分かれます。
一般的な専門知識とは、「〇〇学」に代表されるような、論理的に構築された知識の体系です。
このような専門知識を得るためには、第一には権威のある著者や機関による専門書を読むのがよいでしょう。
ただし、専門書を読むためにはそれなりの時間と労力をかける必要があります。あなた自身がその分野でオーソリティーを目指すようなキャリア設計をしているか、ふんだんに時間と熱意があるなら別ですが、もしそうでない場合は、要約された情報を活用しましょう。
この際の注意点は二つで、一つは必ず複数の要約を参考にすること。できれば3つ以上の、異なる観点からまとめられた要約を参考にしたいところです。学者であっても、ブロガーであっても、その人が取る「立ち位置」に沿った情報を発信します。同じことでも、賛成の人も反対の人もいて、重視する人もいれば軽視する人もいます。ひとつの立ち位置からの要約だけを参照することは、意識しないうちに情報や思考が制約を受けてしまうことがありますので注意しましょう。
もう一つは、必ず「原書(原典)」にさかのぼれる要約を参考にしましょう。
特にネット上には、誰かの要約を他の誰かが要約し、さらにほかの誰かが…
というように、「まことしやかに出所不明な情報」があふれています。
その端的な例として、「ラーニングピラミッド」があります。
皆さん、ラーニングピラミッドという概念をお聞きになったことがありますか?
これは、能動的になればなるほど学習効果が高まることをピラミッド状に表現したもので、
ただ講義を聞いただけだと5%の学習定着率だったものが、視覚や聴覚を活用すると20%、自ら体験すると75%というようにどんどん高まっていく、というものです。
これは、私たちの経験則から納得しやすく、かつ能動的で体験的な学習が奨励されていた当時の教育界の風潮と相まって、広く巷間に流布しましました。さらに、具体的な「数字」も「まことしやかさ」を補強し、学説などと同様に扱われる場面もありました。
ところが、このラーニングピラミッドについて調べていくと、類似のイメージや考え方は見つかるものの、数字や、その根拠となった実験などはどこを探しても見つけることができません。
これこそまさに「まことしやかに出所不明な情報」で、ネット上にはそのような情報があふれています(中には、最初の発信者はジョークのつもりだったものが真実として広まってしまったものすらあります)。
意図的に扱うならまだしも、知らずにそのような情報を拡散してしまうと、コンテンツの信頼性を毀損するリスクがあります。
一般的な専門知識は、専門性、権威性、信頼を獲得するうえで非常に有効ですが、その扱いには十分に注意しましょう。
次に、個別的な専門知識とは、その人自身しか知りえないオリジナルな情報のことです。
例えば、その道何十年という達人や、世界的な企業のCEO、権威ある機関や企業の当事者などが挙げられるでしょうか。当事者だからこそ語りえる、詳細で具体的な情報は、それぞれが持つ個別的な専門知識といえます。
このような情報は、一般的な専門知識よりも共感しやすく、よって理解しやすくなりますので、コンテンツの魅力を高める上では非常に重要です。また、顔が見える人物が語っている内容のほうが、そうでない場合よりも信頼される、というマーケティングリサーチの結果もありますので、効果的に活用すると良いでしょう。
このような情報は、著書やWEBから手に入れることもできるでしょうが、取材などで得た情報であればより価値は高まることでしょう。
注意点は、一般的な知識と照らし合わせておくこと。
その分野の体系の中で、どの部分に位置するのかを確認してから使うようにしましょう。
次に、ユーザーが読みやすい記事を書くことを心掛けましょう。
読みやすさとは、マクロな目で見れば読みやすい構成で、ミクロな目で見れば読みやすい表現で生み出されます。
読みやすい構成については、古典的ともいえる「序論・本論・結論」「起承(転)結」などが参考になるでしょう。また、プレゼンテーションにおける、「結論は最初に述べる」「トピックなどは3つにまとめる」などのテクニックも役に立つでしょう。
読みやすい表現については、
という工夫から始めると良いでしょう。
皆さんは、文章中に問いがあるとどう思いますか? …と、いうように「問い」を使うことで、読者を引き込みやすくなります。
このテクニックは文章でも、口頭でのプレゼンテーションでも非常に有効ですのでぜひ活用してください。
ただし、答えが自明すぎて読者が馬鹿にされていると感じてしまうような問い、誘導尋問はあまり望ましくありません。
1文は、簡潔にすればするほど理解しやすくなります。
1文が簡潔になりにくい場合、この「、」が多くなっている傾向があります。関連情報を含めたり、前提をつけたりすると1文が長くなりやすい傾向がありますので、そのような場合はいったんそれぞれを「。」で切ってみると良いでしょう。
最後に、単純なことですが、漢字の熟語が多くなればなるほど「ちょっと読みにくい」と感じる方は多くなります。とはいえ、ひらがなにするわけにもいかないので、別の表現はないかを考えてみましょう。
特に注意したいのは、「キーワードに関係する専門知識を身に着ける」で紹介したような専門性に関する専門書を読んだ後は漢字の熟語が多くなりがちですので注意してください。
これらのことを下敷きに、さらに読みやすくするためには「読み手」を考えます。
何歳なのか? 男女は? 職業は? 趣味は?
いわゆる、「ペルソナ(マーケティング用にモデルに使う、典型的なユーザー像)」を考えるときのように「読み手」を定義します。
どんな人でも、自分の興味があること、知っていること、経験したことは「わかりやすい」。
そうでないことは「わかりにくい」という傾向があります。
ですので、読み手の興味、知識、経験を想定しながら書くことで読みやすい内容にすることができます。
この時に役立つのが、GoogleのSearch Consoleのような、「検索クエリ」が分析できるツールで、どんなキーワードに興味があるのか、ビッグキーワード(「料理」や「音楽」のような広範囲をカバーするキーワード)からロングテールキーワード(「料理 時短 手軽 おいしい」「音楽 40代 はじめて 楽器」のような複数キーワードの組み合わせによるキーワード)までチェックしてみてください。検索エンジン対策として、それらのキーワードを含めることはもちろんですが、ユーザー像を描くためにも役に立ちますよ。
網羅的・包括的なコンテンツと混同しがちなのが、いわゆる「ごった煮」コンテンツ。つまり、様々な情報がとにかく入っているコンテンツです。
これは、構成の段階でも、ライティングの段階でも起こりうるトラブルです。
構成の段階では、とにかく様々な情報を入れて、「網羅的」にしよう、キーワードをたくさん入れよう、文字数を増やそうとした結果、異なるテーマの情報が混在してしまうことがあります。
また、連想ゲームのように「ワインの知識→ヴィンテージ→古いものはいいものだ→アンティーク→…」のように構成が展開してしまうと、書き手の中では関連性があるのですが、読み手(ユーザーも、検索エンジンも)に評価されることは難しいでしょう。
また、ライティングの段階でも異なるテーマや内容の混在はよく起こります。
最も多いケースはおそらく、あまり計画を立てずに思い付きで書いて行ったり、例を挙げたりする場合でしょう。
書いている途中は頭がフル回転していますので、様々なことに気が付く、思い出すようになります。
すると、あれも、これもと書きたくなり、結果的にまとまりがなく、様々なテーマが混在してしまうのです。
このようなトラブルを避けるためには、まず構成の段階から計画的に準備をすること(このブログで紹介してきたことですね)と、できればその段階で、第三者に確認してもらうことです。
特に、先ほど紹介した「連想ゲーム」のようなパターンは、書き手にとっては整合性があるので、第三者に確認してもらうことが効果的です。慣れてきたら必要なくなるでしょうが、気になる場合は何度か確認してもらうようにしましょう。
コピペは厳禁です!
といっても、引用の範囲内であって、はっきりと引用と分かる形で使うことには問題はありません。
問題なのは
の3種類です。
コピペのパッチワークでコンテンツを構成する、というのは昔からある、他のサイトの情報をつぎはぎして文章らしいものを作るもので、SEOどころか著作権の観点からも大きな問題があります。
他のコンテンツの内容を少しだけ変えるのは、キーワードを中心としたコンテンツマーケティングが流行したときに現れた手法で、検索エンジンからコピーコンテンツと判定されないよう、言い回しなどを少し変えるものです。ですが、このようなコンテンツは、このブログでも挙げたBERTなどの技術の網をかいくぐることはできません。なにより、そのようなコンテンツがまさに粗製乱造されることはユーザーの利益になりませんし、あなたのブログやサイトが、そのようなコンテンツだと認識されることは、仮に一瞬検索数を稼げてもすぐにユーザーは離れていくことでしょう(そもそも検索数を稼げませんが)。
無意識のコピーは、専門性を身につけようとして様々に勉強している人が陥りやすいといえ、過去、どこかで読んだ内容や文章が頭に残っていて、それをそのまま書いてしまう、というものです。
音楽や詩、デザインなどの分野では時折このようなことが指摘されていますね。
長文では起こりにくいですが、あなた自身のコンテンツのオリジナリティを確保するためにも注意したほうがよいでしょう。
対策としては、先ほど紹介したように、いくつかの立場からの情報源を持つのがよいでしょう。
また、無駄な情報を入れすぎるのも考え物です。
先ほど、「異なるテーマを混在させない」でも紹介したように、統一性のないコンテンツは読み手を混乱させます。
SEOと文字数、WEBでライティングをするとなるととても気になるテーマですが、その関係に少しでもヒントはありましたでしょうか。
大切なことは、表面的なことではなく、本質でしたね。
表面的なこと、つまり文字数やキーワードの数などよりも、そのテーマに対し、包括的網羅的で詳細な情報を提供する。徹底したユーザー重視の姿勢が、SEOにつながるスタートラインとなります。
そして、キーワードやすでに検索上位のサイトたちが道しるべになるでしょう。
ユーザーは何が知りたいのか。今、どんな情報を提供したらユーザーは喜ぶのか。
そのことを、あなた自身が常に意識しながらライティングしてみてください。
そうすれば、文字数もSEO的な成果も生み出しやすくなることでしょう。