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94.8%
この数字がなんだと思いますか?
これは、総務省が出した、『情報通信白書 平成30年版』における、日本でのモバイル通信機器の普及率世帯保有率です。さらに、スマホに限定しても75.1%、実に4世帯に3世帯が保有しており、日本のほとんどの世帯は、モバイル通信機器やスマホを持っているといっても過言ではありません。
このような時代の中、当然のことながらWEBサイトの重要性や役割も大きく変わってきています。
以前は、特に企業のWEBサイトは作ってしまえば基本は終わり。あとは情報が古くならないよう更新していればいいという、保守中心の「管理」が中心でした。
ところが、現在のWEBサイトは日々刻々と変わるユーザーのニーズと検索エンジンの検索順位決定アルゴリズムに対応しなければいけません。
そのためには、目的に沿って戦略的にWEBサイトを構築、活用、運営する「運用」の姿勢が求められます。
もちろん、リスクやトラブルを回避するための「管理」は欠かせませんが、それと「運用」の双方がなければ価値あるWEBサイトとは言えない、という時代になっているのです。
WEBサイトを常にフレッシュな状態に保つために、何をすればいいですか?
それは更新だ!
少し前まで、それは正解でした。ですので、各サイトの管理者たちは、更新の頻度を高めるためにいろいろな手段を考えだしました。
その究極ともいえるのが、日付だけ更新する、コピペでコンテンツを増やすなどの更新手法です。
ところが、検索の王者、Googleが2012年~2014年の間(日本では。英語圏では2011年から)に継続的に行った「Pandaアップデート」と呼ばれる検索アルゴリズムのアップデートにより、このような更新手法で更新されたサイトの評価が下がり、検索で上位に表示されることはなくなりました。
先ほども書いたように、「ユーザーのニーズ」に沿い、ユーザーに価値を提供する更新でなければ評価されることは難しくなったのです。
ですので、WEBサイトを運用する場合にも、検索によって新規の流入を増やす、という側面から見た場合は、闇雲に更新していくことが最適解ではありません。むしろ、無計画な更新を続けていくと、サイトの導線がわかりにくくなったり、サイト内で情報の重複が生まれたりして、SEO対策上悪影響が出てしまうことすらあります。
サイトの運用には様々な目的がありますが、企業の活動でも個人のブログなどでも共通するのは、基本的にはより幅広い、多くの人に情報を届けたほうがよい、ということです。
その観点から見ると、更新ひとつとっても、「いつ」「何を」「誰に」「どのような形で」発信するかを計画したうえで行う必要があるのです。
では、WEBサイトを効果的に運用するためには、具体的にどのようなポイントがあるのでしょう。
継続的で、かつ質の高い運用のためのポイントを2つご紹介します。
皆さんは、PDCAサイクルという言葉をお聞きになったことがありますか?
もともとは、製造業で品質管理を行うために考案されたモデルで、様々な場面で応用ができることから今はビジネスの世界を中心に幅広く使われています。
Pは「Plan(計画・仮説)」、Dは「Do(実行)」、Cは「Check(検証と分析)」、Aは「Action(行動の変化)」の頭文字をとったもので、原則P→D→C→Aの順でサイクルを回していきます。
よくあるのが、「D→D→D→D」という、とりあえずやってやりっぱなしというモデル(?)で、WEBサイトでいえば、とりあえずひたすら更新している状態がこれに当たります。
そうではなくPDCAサイクルを回していくためには、
Pでは、「サイトの構造」「目的達成までの仮説」「更新計画「「検証計画」などを考えます。
サイトの構造とは、ユーザーに対し新設でわかりやすく、SEOのために最適化された内部構造を持つサイト構造を目指すこととです。
目的達成までの仮説とは、マクロの視点では現在のトレンドを踏まえ、より多くのユーザーを獲得するためには何が必要かを考えることであり、ミクロの視点では、個別化されたユーザーがなぜサイトを訪れ、そこでコンバージョンするのかを流れで考えておくことです。
トレンドを確認したいときには、各ニュースサイトの見出しや、Googleトレンドでの自社に関連するキーワードの検索ボリュームの推移などを確認しておきます。
個別化されたユーザーについて考える際には、ペルソナを構築すると便利です。
ペルソナとは、マーケティングの世界で使われる「ターゲットとなる典型的な顧客像」で、意思決定プロセスができるだけリアルにイメージできるよう、詳しく「人となり」や「ステータス」を決めていきます。
Dでは、実際にコンテンツを作ったり、統合したり、削除したりしていきます。
現在は、顧客にとって価値ある情報を提供するコンテンツ(情報ノウハウを提供する記事ページの作成など)による、コンテンツマーケティングが注目されており、Googleの検索アルゴリズムも、そのようなサイトに高評価を与える傾向があります。
古くなったり、必要なくなったりしたページはSEO対策を考えても情報をアップデートするためのリライトや統合を行うか、削除を行いましょう。
また、サイト内でのコンテンツ間で内容やキーワードの重複などがあるとSEOに悪影響を与えますので、どのコンテンツでどのような情報を扱うかも含め、PとDで対応しておいたほうがいいでしょう。
Cでは、WEBサイト分析ツールを使って、期待した成果が出ているか、出ているとすれば、また出ていないとすれば何が原因なのかを確認します。
Googleアナリティクスは無料で使えるアクセス分析ツールですが、かなり高度で詳細な分析が可能です。
それ以外にも様々な分析ツールがありますので、「知りたいこと」に基づいて選択していきましょう。
ここで重要なのは。「だから何?」という視点です。
たとえば、「今月の新規ユーザー数は目標の1000に対し700でした」ということは、すぐに分析レポートかわかります。ですが、わかっただけでは次の行動につながらないですね。ですので、「だから何?」という問いを立て、次の行動につながるまで考えましょう。
特に最近多いことに、美しく詳細なレポートを、作るだけ、見るだけで満足してしまうことがあります。
素晴らしいレポートは、次の行動を生み出すために活用しましょう。
最後にAですが、これは次のサイクルのPとほぼ同じです。
Checkした結果見つけだされたPlanと、Doの結果の違いとその原因について施策を当てはめていきます。
Cの部分でも書きましたが、大切なのは行動ベースで考えることです。つまり、Cの結果、次の行動(Action)が生まれなければ、そのCは効果的とは言えません。つまり、Aの段階は、そのひとつ前のCが効果的か、という確かめ算のような性質も持っています。
そして、非常に多くあるケースとして、このC→Aがうまく次の行動につながらず、そこから「チェックしても無駄だ」という誤解が生まれ、そこからCやAを行わなくなってしまう、ことがあります。
また、Action、つまり次の一手につながらない原因には、これまで説明してきたような、分析のレベルが行動を生み出すまでに至っていないケースが多いのですが、その中には、実は打ち手そのものは世の中にあるのに、それを知らないことで「打ち手なし」と判断してしまうこともあります。特にWEBの世界は技術の進歩が日進月歩ですので、今までだったら不可能なことでも可能になっていることがあります。たとえば、効果的なWEB運用の代行を行うサービスだって存在します。WEB担当の方は、知識をアップデートするとともに、様々な外部業者からも情報を収集して常に最新の情報を入手しておくことも大切です。
WEBサイトを効果的に運用するためには、やはり無駄をなくし、有効な手を打っていくことが大切でしょう。
そのために重要なのが、サイトの目的と目標です。
ここで活用したいのが、OKRという考え方です。
OKRとは、「Objecives & Key Results」の略で、定性的な目的(Objectives)と、その達成のための具体的な青果物や目標(Key Results)を定義する目標管理手法で、Googleをはじめとしたシリコンバレーの企業で次々に採用されて話題になっています。
目的とは、「売上を現在の5倍にしたい」「ブランド価値を高め、業界内でベスト5に入りたい」「昨年比で3倍のコンバージョンを生み出したい」などの、どちらかといえば定性的かつ「大きな」目標です。サイト運用全体の方向性を決めるものなので、関係者がみな合意できるもの、そして、できればワクワクするようなものにすることが大切です。
この目的を達成するために、目標があります。目標は、必ず成果(数値)を明確にして定義します。
上記の例でいえば、「売上を現在の5倍にしたい」というObjectiveの達成のために、KeyとなるResult3~5つ定義します。例えば、「訪問者数を3倍にする」「離脱防止率を10%高める」「客単価を1.5倍にする」などです。やりがちなのは、Todoリストのように数限りないKRを設定してしまうことですが、ここでは本当に大切な施策をあぶりだす目的もありますので、可能な限りKRは3~5つの間にしましょう。ただし、すべてのKRを達成したらOが達成されるように設計することが必要です。
これらを設定したうえで、基本は週次で進捗を管理していきます。
サイトを運用していく中で、「これはいいことなんだろうか、それともよくないことなんだろうか」「これは十分なのか、それとも不十分なのかな」ということはたくさんあります。
OKR、つまり、目的と目標を全員で共有しておくことによって、この判断基準となるガイドラインやルールを共有することができます。
さらに言えば、費用などの経営資源の分配を決める経営層とこのOKRについて合意ができていれば、サイトの運用がさらに楽になります。なぜなら、現場が困惑してしまうトラブルのひとつに、経営層などからの横やりがあるからです。
たとえば、サイトのリニューアルをしようとしている際に、役員から「これは気に入らないな」と勘と感覚でコメントされてしまい、その対応に追われる、ということはよくあります。
このようなことが実はサイトの効果的な運用に対し大きなダメージを与えますので、事前にOKRを握っておくことで予防線を張っておくことが大切です。
WEBサイトの運用とは、何のために行われるのでしょうか?
WEB担当のあなたは、何のために日々大変苦労しながら運用しているのでしょうか?
そこには、ECサイトでなくとも、個人でも法人でも得たい「成果」があるはずです。
WEBサイトはあくまでツールです。その「道具」を使って、何を実現するのか?
それを明確にして運用していきましょう。
しかし、どのようなものであれ、継続的に大きな成果を得るためには「Give&Take」の関係を念頭に置いて運用する必要があります。
あなたたちが提供する価値がユーザーの役に立つから、ユーザーがあなたたちに価値を提供してくれるのです。
ユーザーが何を感じ、何を求め、自分たちは何が提供できるのか?
その問いをしていくことが大切です。
自分自身がユーザーとしてWEBを使う際に重視していることは何ですか?
そして、WEBでの体験で価値があると感じたことは何ですか?
その問いを、法人なら社内やユーザーたち、個人なら友人や訪問者たちにできるだけするようにしましょう。
そして、そこで得られた答えに答えていきましょう。
参考までに、これまでの蓄積や、Googleが明らかにしているユーザーのためになるWEBサイトの条件などからいくつか、チェックしておくと良いことをいくつか挙げておきます。
WEBサイトの運用とは、ビジネスで成果をあげることですが、そのための道は、ユーザーに価値を提供していくことにあります。
古代中国の有名な人物である、孫氏が言ったように、「相手のことを知り、そして自分たちのことも知っていれば、10回戦って危ない局面に陥ることはないだろう」のです。
運用と管理の違い、そして、効果的な運用のために必要なことのヒントを今回得ていただければこれ以上嬉しいことはありません。
技術の進歩とともに、WEBは古来よりの商売の原則、つまり、ユーザーに対する理解と共感を最も重視する方向に向かっています。そして、この進歩に伴って、WEBサイトを運用するための理論やツールが生み出されています。
過去から大切にされてきたことを守りつつ、最新の理論やツールを活用して、ぜひあなたのWEBサイトを目的や目標達成のために最適なものにしていってください。