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SEO対策は、現在の顧客の購買行動を考えた場合、必須のマーケティング施策といえます。
SEOとは、「Search Engine Optimization」の略で、直訳すると「検索エンジン最適化」です。
広告代理店大手電通が提唱している、顧客の購買モデル「AISAS」の中でも、顧客の行動は「Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索・調査)→Action(行動)→Share(共有)」と定義されており、Searchの重要性は日々高まっています。そしてそれは、あなた自身の経験からしても正しいのではないでしょうか。
また、Searchして流入したユーザーは、もともと興味・関心があることが多いため、広告で流入したユーザーに比べその後のコンバージョンにつながりやすい傾向があります。
そして、検索した際にどのサイトを上位に出すかは検索エンジンが評価して決めています。
検索順位1位と10位では、クリック率に約13倍の差があります。
だからこそ、検索エンジンの評価を高め、検索上位に表示させるためのSEO対策は重要なのです。
検索は、キーワードを使って行いますね。ですので、SEO対策を行う場合は、まず自社の狙っていくキーワードや、自社が使っているキーワードが適切かどうかを確認します。
キーワードをチェックする際には、
の3つの視点でチェックします。
検索クエリタイプとは、
行動タイプ:「スマホ 買うには」などの、行動に関連するようなもの
知識タイプ:「スマホ おすすめ」などの、知識(情報、方法、ノウハウなど)に関連するようなもの
目的地タイプ:特定のサイト名やブランド名など、特定のサイトを見つけるためのもの
に分けられます。それぞれ、行動タイプは購買につながりやすく、知識タイプはオウンドメディアなどのコンテンツ(記事やブログ)を重視した施策と相性がいいでしょう。目的地タイプは、自社の認知度やブランディングによっては有効です。
この3つに分けて考えるだけでも、自社がどのようなユーザーから検索されているかがわかります。
このような検索クエリについては、Googleが無料で提供しているGoogle Search Consoleで調査することができますので、ぜひ活用してください。
次に検索ボリュームです。
検索ボリュームが大きなキーワードはビッグキーワードと呼ばれます。
このようなキーワードは、検索件数が大きな分、競合も多く上位表示が難しい傾向があります。
それに対し、ミドルキーワード、スモールキーワードと、検索ボリュームによってキーワードの呼ばれ方は変わります。
普通に考えると、「大は小を兼ねる」で検索キーワードが大きいほうがいいと思ってしまいますが、先ほど紹介したように、検索順位1位と10位の間に13倍のクリック率の差があることを考えると、自社にマッチした洲藻^-るキーワードを狙っていくのも戦略として有効です。
スモールキーワードには、いくつかのキーワードが複合したロングテールキーワードと呼ばれるキーワードは、ユーザーの目的意識が高い分コンバージョンにつながりやすく注目されています。
また、Googleが提供しているツールであるGoogleトレンドや、GoogleやAmazonで検索した場合に一覧表示されるサジェストキーワードなどを活用し、そのジャンルの中でのトレンド(検索ボリュームや旬なキーワード)の推移を知ることも大切です。
キーワードと、コンテンツのマッチングをGoogleは非常に重視しています。
例えば、「SEO対策」というキーワードを狙っているのに、それに関連した独自で深い内容がなければ、高く評価されることはありません。
闇雲に検索ボリュームの大きなキーワードを狙うのではなく、自社の強みにマッチングしたロングテールキーワードを狙ったほうが効率が良いこともあるでしょう。
競合がどのようなキーワードを狙っているのかを把握したうえで、そこに被せに行くのか、避けていくのかという戦略を、自社のポジショニングやブランド戦略を踏まえたうえで考えていくことが大切です。
検索順位とは、当然強豪との競争の上に成立します。
競合がどのような戦略をとり、どのような結果を収めているのか、無料ならそこそこ、有料なら詳細なデータを得ることができますので、調査や分析をしたうえで自社のキーワードを決めていってください。
SEO対策には、大きく分けて内部対策と、外部対策という2種類があります。
それぞれの違いは、内部対策とは、自社のHPそのものを改善していくこと。
外部対策とは、外部から評価され、その結果リンクされることを目指します。
外部から評価され、リンクされるためには良質かつ便利なサイト構築と運営が必須ですので、内部対策の結果、外部対策が進むといえます。ですので、ここでは主に内部対策について紹介していきます。
先ほど紹介したように、内部対策とはHPそのものの改善なのですが、だれに対する改善なのか、という考え方が大切です。そして、SEO対策における改善は、「ユーザーに向けた改善」と、「クローラに向けた改善」の二種類があります。
ユーザーはともかく、クローラとは何か?
Googleの検索エンジンがサイトを評価する際、その情報を収集し、評価しているのは人間ではなく、クローラと呼ばれるロボットです。
ロボットですので、基本的には決められた手順に従ってサイトの情報を収集し評価します。
その特性を考えた際に、クローラに向けた改善のポイントは3つ
です。厳密には、1の中に2も3も含まれるのですが、説明の便宜上ここでは3つに分けます。
なお、Googleはユーザーファーストの姿勢を掲げていますので、このクローラ対策の多くはユーザー対策と重複します。ですので、ここからは両方を視野に入れながら説明します。
サイトは、HTMLという言語で記述されています。
この、HTMLをクローラが理解しやすいように整理して記述します。
その際に大切になるのが、サイトそのものを説明する「titleタグ」や、「metaタグ」、「h(head)タグ」の使い方です。
「titleタグ」というのはサイトのタイトルを定義するためのタグで、ここにキーワードが入っていることが大切です。
クローラとしては、ここに対策キーワードが入っていることが大切なのですが、ユーザーとしては、タイトルのできるだけ前のほうにキーワードがあったほうが視認しやすくなるでしょう。また、タイトルの長さも重要で、パソコンの場合は30字前後、スマホの場合は20字前後のタイトル表示となり、それ以上長い場合は省略表示されてしまうため、できるだけこの文字数に収めることが大切です。
「metaタグ」は、メタディスクリプションという、サイトの説明文を定義するためのタグです。
サイトの説明文は、検索した際、サイトタイトルの下に表示される簡単なサイトの説明文です。
この中に、当然対策キーワードが入ってくるべきですし、サイトの結論なども含めるようにしましょう。
また、ユーザー対策のためには、タイトルと同じようにできるだけ冒頭近くに重要なキーワードが表示されることが大切です。また、「特価」「無料」「期間限定」などのユーザーベネフィットに直結するようなワードをつかみにすることでクリック率を高められる可能性があります。競合がどのようなつかみを使っているのか、できるだけ調査し、それに劣らないようにしましょう。
「h(head)タグ」は、記事の段落を定義するためのタグです。
「h1」~「h6」まで定義することができ、コンテンツを構造化することができます。
ここで重要なのは、それぞれの「hタグ」にキーワードを含めること。ただ、ここでキーワードを入れてもクローラに評価されることはないのですが、ユーザーにとっては読みやすい構成となります。
また、
h1
h2
h3
h3
のように1から順番に階層化して使うことが大切で、これが例えば
h1
h3
h2
のようにバラバラになってしまうと、クローラが読み込む際に大きなマイナスとなりますので注意してください。これらの対策を行った結果として、2.情報を見つけやすくする も実現していきます。
Googleは、ページ、キーワード、コンテンツの重複を嫌います。
というのも、少し前にいわゆるコピペでコンテンツの量を増やし、良質なコンテンツと誤解させてコンテンツの評価を高めさせるようなSEO対策が流行し、結果的にスパム的なサイトが横行したことがあり、Googleがこのようなチート(ずる)的なサイトを上位表示させることを避けようとしているからです。
ですが、上記のような意図的なチートでなくとも、無計画にサイトを拡大したり、よく考えずに作ることでページやキーワード、コンテンツの重複が起こってしまうことがあります。
また、上記のようなケースでなくとも、ECサイトなどで同じ商品の色違いバージョンの商品ページを作ったことが重複と評価されてしまうことがあります。
このような重複コンテンツが、オリジナリティのない低品質なコンテンツと評価されてしまうと、サイト全体の評価に悪影響を及ぼすことがあります。そのような場合の対策は、ケースごとに大きく3つあります。
no indexタグとは、簡単に言えば「クローラが見ないようにするタグ」です。
低品質なページであっても、すぐに手を付けられない場合や、購入の導線上にあり削除してしまうとデメリットがある場合などは、このno indexタグを活用します。
非常に便利ですが、このタグをつけていると仮にその後更新して高品質なページになっても一切評価に反映されないので気を付けてください。
canonicalタグとは、「カテゴリごとにページをまとめるタグ」です。
先ほど挙げた例のように、「マフラー 赤」「マフラー 青」「マフラー 黄」の3つの商品紹介ページがあると、色以外のすべての情報が重複します。でも、1ページにまとめるのも…
という場合にこのタグを使うと、「マフラー」というカテゴリにまとめることができます。
情報が古くなったり、不十分だったりするページはリライトして品質を高めるといいでしょう。
情報のアップデートはサイトメンテナンスの一環として必須ですが、SEO対策の知識がない時期に自社で内省したコンテンツや、ブランド戦略の変更に伴い、対策キーワードが変わったコンテンツなどはリライトが有効です。
削除については、サイト構造、ユーザーの導線、コンテンツそのものの発展性など様々な観点での検討が必要であり、無計画に削除すると余計なトラブルを引き起こすことがあります。削除を検討する場合でも、実際にはほかのページとの統合を検討したほうがよいでしょう。
最後に、外部対策についてですが、過去にあったような手あたり次第リンクを貼ったり、自社のサテライトサイトやダミーサイトとリンクすることはSEO対策上無意味であるばかりか、ペナルティの対象になりますので絶対にやめてください。
リンクは、原則外部からリンクされた上で、リンク先のサイトが高品質であり、かつ自社サイトと整合性がある場合だけ評価されると考えてください。
自社サイトが低品質サイトやスパムサイトからリンクされているとマイナスの影響が出ることもありますので、被リンクのチェックも定期的に行いましょう。
被リンクという視点では、SNSでの拡散は時代のトレンドを考えると非常に重要なプロモーション手段になります。自社でSNSを積極的に運用することはもちろんのこと、できるだけSNSで拡散されやすいコンテンツ作りを目指すことは重要です。
SEO対策のためには、ツールの活用が欠かせません。
なぜなら、有名な「PDCAサイクル」の「C:Check」に当たる部分が有効に機能しないと、「A:Action」も効果的ではなくなるからです。ですので、こちらではCheckのために有効なツールの中でも、代表的なものを紹介していきます。
Google Search Consoleは、GoogleがWEBマスター向けに無料提供しているツールです。
主な機能は、自サイトがGoogle検索でどのようなキーワードで検索されているかが知れることと、自サイトにエラーやペナルティ要件などが見つかった場合に通知してくれることがあります。
いずれも唯一無二の機能であり、SEO対策行っていくうえで必須のツールといえます。
Googleアナリティクスは、Googleが原則無料(1000万ヒット(Google Analyticsデータ送信の回数)/月を超えると有料)で提供しているアクセス解析ツールで、自サイトに流入したアクセスの、流入経路(検索なのか、広告なのか、他のサイトからなのか)や流入後の状況(滞在時間、見たページ数、離脱の状況、コンバージョン)などが見られます。
自サイトを診断するための必須ツールです。
Google広告 キーワードプランナーは、Googleが提供している検索キーワード選定ツールです。
もともとは、Googleが提供するリスティング広告などでどんなキーワードを広告の対象にするのか決めるためのツールでしたが、それをSEO対策に活用することができます。
このツールでは、キーワードの月間検索ボリュームやキーワード順位、競合の状況、もしPPC広告(1クリックあたりで料金が発生するタイプの広告。リスティング広告など)でそのキーワードの入札した場合いくらになりそうか、などの情報を知ることができます。
ただし、うえでも書いたように、基本的にはGoogleで広告出稿する人のためのツールなので、広告出稿していないアカウントでは、知ることができる検索ボリュームが概数になるなどの制限があります。
GRCは、有限会社シェルウェアが提供・販売している検索順位Searchツールで、無料から使用することができます。
このツールでは、あるキーワードで自サイトが、Google,Yahoo,Bingなどでの検索順位何位であるかを見ることができ、その推移も把握することができます。さらに競合の情報や検索順位上位100位の状況なども見ることができるので、自サイトや競合の状況だけでなく、業界の検索トレンドも把握することができます。
SEOチェキ!は、ロプロスが運営する、無料のサイトチェックツールです。「基本チェック項目」では、サイトのメタ情報に関するチェックができ、「追加チェック項目」では検索順位や検索キーワードがチェックできます。
また、SEOチェキ!だけで完結せず、いくつかの無料の調査・分析ツールに連携しているのも特徴です。
検索窓にURLをコピペするだけで上記の情報が誰でもわかりますので、自社サイトのチェックだけでなく、競合情報の収集にも役立ちます。
Mobile-Friendly Testは、Google Search Consoleの機能のひとつです。
Googleは、2015年からモバイルフレンドリーを重視する検索アルゴリズムのアップデートを行っており、現在では、モバイル対応のサイトの有無によって、検索順位が変わるようになっています。具体的には、同じぐらいの評価のサイトが二つあった場合、モバイル対応していないサイトAよりも、対応しているサイトBのほうが上位に表示されます。
Mobile-Friendly Testでは、検索窓に任意のサイトのURLを打ち込むことで、そのサイトのモバイルフレンドリー度を測ることができます。
SEO対策を考える場合、そもそも「Search Engine」がどのような目的や思想で設計され、改善されているのかを知ることは大切です。
Googleにも重視する事実があり、それに基づいて検索エンジンをアップデートしているからです。
これは、「Googleが掲げる10の事実」として公開されています。
その中でも、特にSEO対策に関連する部分を抜粋すると、
1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。
2. 1つのことをとことん極めてうまくやるのが一番。
3. 遅いより速いほうがいい。
4. ウェブ上の民主主義は機能します。
5. 情報を探したくなるのはパソコンの前にいるときだけではない。
7. 世の中にはまだまだ情報があふれている。
8. 情報のニーズはすべての国境を越える。
10. 「すばらしい」では足りない。
(参照元:https://www.google.com/about/philosophy.html?hl=ja)
などがあるでしょうか。この中でも最も重要なのが、やはり「1. ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる。」でしょう。ユーザーファーストの姿勢を貫くからこそ、ユーザーがより価値のある情報に、手軽に、確実にたどり着けるようGoogleは努力しています。頻繁に行われる検索アルゴリズムのアップデートも、その文脈に沿って行われます。SEO対策業者の中には、検索アルゴリズムのアップデートを成果が出ない原因として挙げる業者もありますが、そもそもそのような会社が行っているSEO対策は、ユーザーの利益につながりにくいものなのかもしれません。
2は、後で説明しますが、サイトの専門性や独自性の重視という姿勢につながっています。
3についても、Googleは『読み込み速度はこれまでもランキング シグナルとして使用されていましたが、それはデスクトップ検索を対象としていました。 そこで 2018 年 7 月よりページの読み込み速度をモバイル検索のランキング要素として使用することを本日みなさんにお伝えしたいと思います。(引用元:『Googleウェブマスター向け公式ブログ』)』のように検索順位に影響すると明言しており、スピードを計測するために、独自にGoogle PageSpeed Insightsというツールを無料で提供しています。
4については、被リンクやシェアの重要性を示しています。
5については、モバイルファースト、モバイルフレンドリーの姿勢を示し、7についてはクローラの性能向上、8については、AIによる自動翻訳などを通じて実現されていくでしょうか。
そして、これらすべてに通底する姿勢として10があり、だからこそ今この瞬間も、あくなき改善を図っているのです。
この10の事実に基づき、Googleは高品質のサイトを評価するガイドラインを示していますが、その中でも特に重要なのが、「E-A-T」と呼ばれる3つの要素です。
「E-A-T」とは、「Expertise:専門性」「Authoritativeness:権威性」「Trustworthiness:信頼性」の頭文字をとったもので、この三要素がハイレベルで満たされれているものを高品質なサイトとして評価する、としています。
専門性とは、扱っているテーマに関する専門的でオリジナルの内容が示されていることで、権威性とは、信頼できるサイトからのリンクがあったり、国や公共機関などの社会的に認知され、情報の精度も高いと思われる機関の発表や、評価の高い学術論文や研究者などの情報を適切に利用していたりすることを指します。信頼性とは、専門性や権威性を満たし情報源として価値があり、正確性が担保されているだけでなく、誤字・脱字や文法上の誤りなどにも配慮されていることを指します。
そして、これら3つは独立してあるのではなく、それぞれが影響を与え合うもので、その相乗効果の上に高品質なコンテンツが作られると考えられています。
これらEATの考え方は、GoogleのGeneral Guidelines(2019.5)の21ページにあり、そのほかの基準なども記されています。全部で135ページに及ぶ上に、英文なのですべてを確認することは難しいかもしれませんが、目次を見て必要そうな内容だけでもチェックをしておくと良いでしょう。(参照先:https://static.googleusercontent.com/media/guidelines.raterhub.com/ja//searchqualityevaluatorguidelines.pdf)
この記事では、SEO対策とは何か、その基本から、SEO対策がどこで、どのように必要なのか。そして、SEO対策の結果をどう測るのか、という観点から、いくつかの計測ツールを紹介しました。
Googleの重視する10の事実でも紹介したように、まずはユーザーのニーズに合ったコンテンツを、ユーザーが見やすいように提供することが第一ですが、同時にクローラフレンドリーなサイトを構築する内部対策も重要でしたね。
計測ツールには様々なものがありますが、これらを活用する際のポイントを挙げるとすれば、「こんな次のうち手につなげるために、こんな情報が欲しい」という明確な意図をもって計測することが大切、ということです。
PDCAサイクルでいえば、P(Plan)の段階で、目標や検証方法を設計し、C(Check)-A(Action)が効果的に行えるようにする。これが、情報収集ツールを使うときの原則です。
注意したいのは、SEO対策でも、そのデータ収集でも、手段が目的になってしまいがちですので、自社が何を目指し、何を得たいのか、その目的を確認しながら進めると良いでしょう。