海外SEOは日本国内のSEOとは大きく異なっています。自社の商品・サービスに合ったターゲットとなる国・地域を選び、そこに合わせたSEO対策が必要となります。今回は、いま海外に目を向けるべき理由から、国・地域に合わせた具体的な海外SEOについてご紹介していきます。
インバウンドビジネスを考えている方、海外向けのSEOをうまく軌道に乗せたいという方は、ぜひご一読ください。
目次
海外の方に向けたビジネスでも特に「インバウンド」ビジネスに注目が集まっているのは、日本を訪れる外国人数がかつてないほど増加しているからです。
つまりそれだけビジネスのチャンスも拡大しているからです。どのような大きな変化があるのか、具体的に見ていきましょう。
どのような大きな変化があるのか、具体的に見ていきましょう。
街を歩いていて「外国人の旅行者、増えたなあ」と肌で感じている方も多いと思います。2020年の訪日外国人旅行者数は推計3430万人というニュースも出ています(参考:JTB「2020年の旅行動向の見通し」より)訪日外国人の数は驚異的な勢いで増えています。これは10年前の約1.5倍という数字です。
政府が目指す2020年に4000万人、には及びませんが、訪日外国人の増加のペースはこれまでにないほどです。
いわゆる「爆買い」は終わったと言われますが、それでも訪日外国人の旅行時の支出額は一人あたり15万円、年間で総額4兆円を超えています。(参考:日本政府観光局 2022年訪日外客数)
4兆円というと国内の酒類市場が3.6兆円規模なので市場の大きさが読み取れます。
近隣の中国や韓国、台湾、香港からの観光客が多いのはもちろん、最近ではベトナムやフィリピンなどの東南アジアや、ロシア、イタリアからの観光客が増えています。最も大きな伸びを見せているのはベトナムで前年比25.9%増です。フィリピンで18.8%、ロシア22.7%増と大幅に伸びています。
(参考:日本政府観光局統計データ)
海外に向けたSEOで注意することはどういったことでしょうか。海外SEOは日本国内でのSEOと異なる部分も多くあります。
海外をターゲットにサイトを運営していく上で必ず注意するべきことを5つ解説していきます。
海外ではインターネット環境が整っていないところも多くあります。日本では4G回線が主流ですが、海外ではまだ3G回線がメインのところも多くあります。そのためGoogleが提供している「Test My Site」でスピードチェックを行い、表示スピードをチェックしましょう。Test My Siteのスピードチェックは3G回線を前提として行われるので海外でのUX向上につなげることができ、検索エンジンからの評価アップにもつなげられます。
今の検索エンジンでは言語ごとにドメインURLを分けないと正しい検索順位に表示されず評価が下がることがあります。
そのため、同一内容でいくつかの言語を使ってコンテンツを作成する場合は、ページのURLを変えて言語ごとにページを用意します。
サイトが自国のサーバーにあることで、検索エンジンの評価も上がりやすくなります。表示速度にも影響します。日本のサーバーの場合、海外からのアクセス制限をかけているサーバーも多いので注意が必要です。
海外SEOなら、AWS やAzure といったクラウドサービスを活用するのがおすすめです。いずれの国にも対応でき、管理の手間も削減できます。
国ごとにドメインを取得するのであれば、国コードトップレベルドメイン(ccTLD)
を取得するのがおすすめです。ccTLDとはその国のコードに基づいたトップレベルのドメインのことです。日本は「.jp」です。検索エンジンはこのccTLDによってどの国を対象としたサイトなのかを判断します。
そのため、対象とする国ごとにドメイン取得の際にccTLDにした方が上位表示されやすくなります。SEO戦略もccTLDごとに実施する必要があります。
サイトのローカライズは海外展開を進めていく上で直面するもっとも大きな課題のひとつです。
「多言語化対応」というより、Webサイトのローカライズ(外国人向け最適化)と考えるとよいでしょう。
主に機械翻訳か人力翻訳で行います。予算や翻訳のボリュームによって判断します。近年、機械翻訳の精度が上がってきているので、まずは機械翻訳でベースを作り、それから人力で細かい調整を行う方法が定着しつつあります。
ボリュームが多いほど人力だけで進めるのはコストも時間もかかるので、タイピングミスやスペルミスなど機械翻訳でチェックしながら行うと効率的です。
ネイティブにできるだけ違和感なく情報を見てもらうためにも、翻訳時には現地に合わせた方法を検討することが必要です。
多言語対応を考える際、翻訳がいちばん気になりますが、実はWebデザインにも課題があります。
日本語だと収まっていたレイアウトが他言語ではおさまらず、レイアウトが崩れる可能性があります。翻訳に合わせてレイアウトを調整しましょう。
またフォントやサイズも言語に合わせて調整することも忘れずに行いましょう。
日本における検索エンジンはGoogleやYahoo!JAPANが主流です。Yahoo!JAPANの検索エンジンはGoogleのものを使っているので、日本でのSEOは実質Google対策がメインです。ところが海外では事情が違います。
必ずしもGoogleが主流とは限りません。国や地域で主流となる検索エンジン対策が必要になってきます。また日本で人気があるコンテンツが海外でも通用するとは限らず、人気のコンテンツの傾向も全く異なります。
以下の国と地域別にSEO事情を見ていきましょう。
中国ではGoogleを利用することはできません。百度(Baidu)が主な検索エンジンです。百度(Baidu)ではGoogleに似た評価手法を採っています。タイトルや見出しに狙っているSEOキーワードを盛り込むことはGoogleと同様ですが、大きな違いはmetaタグ情報が直接百度(Baidu)で表示される点です。そのためmetaタグの設置は必須となります。
中国ではWebサイト開設は「許可制」です。中国工信部へのサイト登録申請が必要です。サイトだけでなく、SNSや決済アカウントの登録申請も中国内でないと行えないものもあります。ノウハウをもつ代理店に依頼するのがスピーディです。
韓国での主流となる検索エンジンはNAVERで、SEO対策はNAVERを基準とします。ただ、NEVERはSEO対策がしにくい検索エンジンと言われています。NEVERの検索結果の表示方法は独特で、カテゴリーごとに表示されます。そのカテゴリーも30以上あり、検索ワードにより出てくるカテゴリーも異なります。
NAVER社が運営するコンテンツが優先的に上位表示されるため、企業のWebサイトはほぼ表示されません。表示されるコンテンツの比率はNAVERブログが約4割を占めています。そのため、韓国においてはブログを活用したSEO対策が重要となります。
タイ・ベトナム・インドネシアなど東南アジア地域は経済成長著しく、大変魅力的な市場です。検索エンジンシェアはGoogleが圧倒的なので、SEOもGoogle対策になります。
3カ国ではSNSが非常に普及しています。タイではLINEの普及率が高く日本に次いでユーザーが多いです。ベトナムはFB Messenger、インドネシアはWhatAppが人気です。
ベトナムは所得による渡航規制があることからインバウンド需要は少ないと思われがちですが、逆に訪日するのは高所得者層である可能性が高く、そこをターゲットにしたプロモーションも期待できます。
多民族国家で多様な価値観をもったインドネシアは東南アジアのなかでもひときわ大きな存在感があります。人口の約半数が20代と若く、ストーリーズ広告などを活用した動画広告が受け入れられつつあります。
SEOに関しては日本と似ています。しかしさらに効果的な運用のためにはアメリカの最新情報に基づいたSEO対策を行う必要があります。
パンダアップデート以降、コンテンツマーケティングの重要性が高まっています。90%以上の企業がコンテンツマーケティングを取り入れた対策を行っています。
また最近ではセマンティック検索といって、“ランクブレイン”と呼ばれるAIシステムをベースとしたアルゴリズムで、ユーザーが入力した検索キーワードから、ユーザーが何の情報を求めているかを推測し、その情報を表示します。
このようにユーザーにとって有益な情報をいかに発信できるかが最重要視されています。
ターゲットとする国のユーザーの状況をリアルに把握することは日本からでは難しいことです。その国や地域の言語で何と検索されるのか、また、競合はどういった状況なのか、正確にキーワード調査と競合調査を行うことが重要です。
GoogleキーワードプランナーとGoogleトレンドを活用することで、ビジネスにつながりそうな有効なキーワードをリストアップすることができます。
関連した言語で少しでもキーワードがわかるなら、そのキーワードに基づいて対象言語における別の適切なキーワードを考えます。
すでにランディングページが作成済みならそのURLを入力して候補をリストで表示させます。
多言語でどのようなキーワードを使っているかを把握します。注目してほしいのは一番下になる関連クエリです。
特定の対象物を検索するのに母語ではどんなキーワードを使っているのかを調べることができます。常に上位にあるキーワード、最近もっとも検索数を稼いでいるキーワード一覧を切り替えられるので、関連キーワードに適合するようコンテンツをカスタマイズすることができます。
海外SEOは日本におけるSEO対策とはやり方や重視する点が異なるということ、おわかりいただけたでしょうか。自社の商品やサービスに合ったターゲットの国・地域を選び、マーケティング戦略を立てることが重要です。
いずれにしても、コンテンツを重視する傾向が強くなってきているので、ターゲットとする国・地域ごとの消費者ニーズをつかんだ質の高い記事を作成していくことが共通課題になってきています。
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